春闘 トヨタ4年連続ベア実施 1500円軸に調整 自動車大手は最終攻防

 
7日、集会で団結を呼び掛けるトヨタ自動車労働組合の鶴岡光行委員長(壇上中央)=愛知県豊田市の本社

 大手自動車メーカーの平成29年春闘交渉が大詰めを迎えている。春闘相場の形成に強い影響力を持つトヨタ自動車は8日、3回目の労使協議会を開き、ベースアップ(ベア)に当たる賃金改善に経営側が前向きな姿勢を示した。労働組合はベア月額3千円を求めているが、経営側は難色を示しており、前年と同じ1500円を軸に調整する可能性がある。15日の集中回答日に向け、妥結水準をめぐる労使の交渉が最終局面に入った。(今井裕治)

 トヨタの豊田章男社長は労使協議会で「日本全体が元気になるような方策に思いをめぐらせている」と述べ、賃上げで経済底上げに貢献する考えを表明した。

 ベア実施は4年連続となる。過去2回の協議会では、経営側が「既に賃金水準が高い」としてベアに慎重な姿勢をみせてきた。

 ただ水準について、経営側は「現在の経営環境、競争力を考えると(定期昇給に当たる)賃金制度維持分を上回る賃金引き上げ(ベア)は昨年の水準に遠く及ばない」とし、28年春闘の妥結額である月額1500円にも慎重姿勢。豊田社長はベア水準を念頭に「悩み抜き決断する」と述べた。

 日産自動車やホンダはすでに経営側がベアに一定の理解を示している。しかし、足元の業績鈍化に加えて、トランプ米大統領の通商政策や英国の欧州連合(EU)離脱など経営環境の不透明さに対する懸念などから、どちらも労組側の3千円要求に対して、「高過ぎる」と主張。このため妥結額は昨年(日産は3千円、ホンダは1100円)を下回る可能性が高い。

 他の自動車メーカーの経営側も「社会性」を踏まえ、今春闘でもベアについて理解を示している。

 安倍晋三首相は昨年11月、29年春闘を前に、経済界に対し「少なくとも28年並みの水準の賃上げを期待したい」と述べ、4年連続のベアを要請した。自動車大手には、部品を含めた産業規模が50兆円を超える基幹産業として、ベアで日本経済に貢献していく認識が前提として強くあった。