新日本製鉄と住友金属工業が10月に合併し、世界2位の巨大鉄鋼メーカー「新日鉄住金」が誕生する。昨年12月に公正取引委員会にプレッシャーをかけ、異例のスピード認可を勝ち取った。だが、“公約”通りに製鉄所の統廃合や大規模な人員削減を実施せずに相乗効果を発揮できるのかなど課題は多い。住金にはガリバー新日鉄にのみ込まれるとの警戒感が強い。新日鉄は実権を握る社長ポストを住金に譲る配慮をみせたが、社内融和も容易ではない。
異例のスピード認可
「公取委が、その役割をどう果たすかという観点で判断してもらった」
新日鉄の三村明夫会長は昨年12月14日の合併認可を受け、「してやったり」の表情を浮かべた。
両者の間には因縁があった。新日鉄が計画していたステンレス大手の日新製鋼への出資比率引き上げで、公取委の事前審査が長期化し、結局、平成22年末に断念に追い込まれた。
関係者は、「公取委の担当者が次々に異動するなど、『認めない』という姿勢が見え見えだった。公取委につぶされた」と、振り返る。
公取委は、昨年7月に合併の審査基準を改正し、審査の迅速化に加え、国際競争力の強化という観点を重視する姿勢を打ち出した。審査は1次が30日間、2次が90日間と定められているが、今回は2次が30日間余りという短期間での決着となった。「4月に合併契約を結び、6月の株主総会での承認を受ける企業側のスケジュールから逆算した認可だった」(業界関係者)という。