公取委の深町正徳上席企業結合調査官が「ストップウオッチを押す権限が企業側にあった」と認めるように、主導権が当局から審査される企業側に移ったことを浮き彫りにした。
相乗効果1500億円
公取委の認可を受けたことで、両社はこれまでできなかった生産・販売・技術開発などの部門の統合協議を本格化させる。
合併の試金石として注目されているのが、両社がそれぞれ製鉄所を持つ北九州市だ。昨年11月に3キロ離れた新日鉄八幡製鉄所と住金小倉製鉄所が1本のパイプラインで結ばれた。八幡から小倉にLNG(液化天然ガス)を供給。小倉は25年にも燃料を重油からLNGに全面的に転換。環境関連の設備投資費を抑制すると同時に、一体的な製鉄所運営のモデルケースとする考えだ。
こうした製鉄所間の連携強化によるコスト削減などで、合併から3年後をめどに年間1500億円の相乗効果を見込んでいる。
これまで「門外不出」とされてきた高炉の海外建設も焦点だ。両社は、それぞれインドでの建設を視野に入れており、「どちらかに経営資源を投入する必要がある」(新日鉄幹部)とし、一本化により一気に具体化する可能性がある。
一方で、両社は国内の製鉄所の統廃合や大規模な人員削減は実施しないとしている。だが、歴史的な円高水準を受け、主要顧客の自動車メーカーなどの海外移転が加速。鉄鋼各社も現地生産の拡大が不可欠となる一方で、先細りの国内は過剰生産能力を抱え込むことになりかねず、「いずれリストラが浮上する」(アナリスト)との見方は多い。