電子書籍、本気の楽天 格安端末投入、アマゾンと覇権争い激化 (3/3ページ)

2012.2.25 05:00

 アマゾンは「端末を採算割れの状態で販売している」と指摘される。赤字覚悟で端末を売り、電子書籍で収益を確保するビジネスモデルは「ネット小売りの巨人」といわれるアマゾンゆえにできる芸当だが、楽天が描くビジネスモデルも同じだ。

 電機メーカーも低価格攻勢に備えた戦略を展開する。東芝は配信ストア「ブックプレイス」で使える5000円分のポイントを端末につけ、割安感を演出。長嶋忠浩・デジタルプロダクツ&サービス第一事業部長は「(キンドルの)価格は意識している」と認める。

 日本では2年前に「電子書籍元年」を迎えたとされながら「市場は伸び悩んでいる」(調査会社MM総研の篠崎忠征アナリスト)のが実情。有力なコンテンツに欠け、端末価格の高さもネックとなっており、低価格の端末が出てくれば「市場は拡大する」と篠崎氏は話す。

 MM総研によると、漫画や雑誌なども含めた電子書籍のコンテンツ市場は10年度の640億円から、15年度には3501億円に拡大する見込み。端末市場も10年度の113万台から15年度には639万台に伸びるという。

 講談社など複数の出版社が電子書籍を共同管理する「出版デジタル機構(仮称)」を4月に設立するなど、出版業界でも事業強化に動く。今年こそ真の「元年」となるのだろうか。(中村智隆)