靴メーカーにとってアパレル業界はこれまで直接かかわったことのない取引先だけに、戸惑いも多い。そこに生きるのが、獅々原さんが商社で培った商品展開のノウハウだ。「どんな人にどんな靴を履いてもらいたいのか、という商品イメージを絞り込む。それがブランドをつくり上げるということだ」。
獅々原さんは「ファッションの発信地、パリに数年のうちに拠点を置き、“神戸シューズ”を世界に発信する。そこでブランド力を磨く」という事業戦略を抱いている。海外でも受け入れられる品質の良さを長田の靴が持っている、という自信が根底にある。
電機メーカー3社の技術力も世界トップレベルにある。3D(3次元)テレビもいちはやく商品化した。しかし、「3Dが見られたら何が変わるのか」という決定打に欠けていた。そして、結局は価格競争の消耗戦に巻き込まれてしまった。エコカー用電池、太陽電池、スマートフォン(高機能携帯電話)など新分野で勝負するにしても、そこから顧客が、新しく魅力的な生活への変化を実感できる商品展開が不可欠だ。巻き返しへ奮闘する経営者たちにもう一度問いたいと思う。「あなた自身はどんな未来を待ち望んでいるのか」と。(神戸総局 牛島要平)