もともと欧州勢は、「EVは走行距離に制限があり、都市間の移動手段として夜間の普通充電で事足りる」(BMW)との見方が多かった。にもかかわらず欧米勢が新たな規格を持ち出したのは、「コンボ方式はプラグ面積をとらず効率性も高い」ことなどを挙げている。
ただ、その裏には「EVで実質的にリードされている日本に対して、政治力で対抗していくことを鮮明にした」(住商アビーム自動車総合研究所の本條聡所長)との見方が一般的。市販のEVで先行する日産と三菱自動車つぶしともいえ、「日本に主導権を握らせないという面子を保つためではないか」(業界関係者)との声もある。
ガラパゴス化懸念 周到な戦略必要
日本と欧米の規格争いについて、BNPパリバ証券の杉本浩一シニア・アナリストは「電圧やプラグ形状の違いなどを考慮すれば、チャデモ規格で全世界を網羅するのは無理がある。当面は日本と欧米の規格が併存するのではないか」とみる。日産のカルロス・ゴーン社長も、「しばらくは2つの標準規格を受け入れていくことになる」と冷静な姿勢をみせる。