金子館長は「人の日常に密着した鉄道を表現しようと、鉄道の24時間をここで再現した」と説明する。
1回の運転時間は20分。朝、始発列車のアナウンスが聞こえると、在来線や新幹線が次々に動き出し、各地で人々が活動し始めにぎやかになる。名古屋駅のホームには、実物と同じ16両フル編成、約5メートルの新幹線が続々と到着し、山梨県の山間に見える実験線では試験走行するリニアが時折びゅん、と風を切って走る。
終電を終えると、線路には作業員が現れ、安全運行のための保守作業が行われる。沿線の美しい観光地もリアルだ。東京スカイツリー、名古屋駅のツインタワービル、京都・清水寺…よく見ると「沿線」ではない奈良・東大寺に兵庫・甲子園球場まで! 「修学旅行の定番、京都、奈良はわが社にとってはずせないもので…」(JR東海広報)と欲張りな本音がちらりとみえた。
よく目をこらすと、おとぎ話の登場人物も随所に盛り込まれている。ヤマネの高見浩さんは「鉄道の好きな男の子よりも、女性をひきつけたいと思い、誰でも知っているお話をちりばめた」と話す。
「納期がなかったら、今でも作ってる」(高見さん)という凝りようだが、広すぎて肉眼では確認できない部分もある。双眼鏡を手にもう一度訪れたいところだが、ファン向けには製作過程を明かした公式鉄道ジオラマガイド(丹青社、ヤマネ刊1050円)まであるという。