そして主役のリニアは、浮上や走行の仕組みがわかる体験コーナー、「時速500キロの世界」を疑似体験できるミニシアターと、“学習”に重点を置いた。その結果、小、中、高校生の社会見学から外国の要人視察まで、幅広い集客に貢献した。
「実物を触って確かめてほしい」と金子館長が案内してくれたのは、エントランスの展示車両だ。過去、現在、未来の最高速度を記録した蒸気機関車(C62、時速129キロ)、新幹線試験電車(300X、443キロ)、超電導リニア(MLX01-1、581キロ)。これら実物に触れる意味について、金子館長は「鉄の重厚感やリニアの曲線に触ることでいろんなことを感じられる」と信念を語る。
この1年を振り返ると、リニア計画が大きく前進し、人々の関心を呼び起こした年でもあった。先行開業する東京-名古屋間のルートは3本の候補を国が調査するなか、各自治体がリニア誘致に火花を散らしていたが、ほぼ直線に南アルプスを貫くルートに決定。国は昨年5月、東京-大阪間のリニア建設、営業主体にJR東海を指名し、いよいよ計画実現へと一歩を踏み出した。
延伸時期がはるか先の関西でも、リニアへの関心を高めるニュースが相次いだ。橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会が躍進、リニアと関空の一体活用を主張し、その実現性に注目が集まったからだ。