“高い壁”勝手が違う…中国EC市場で日本勢挫折 (1/3ページ)

2012.5.18 05:00

 楽天など過当競争で埋没

 日本の電子商取引(EC)大手が中国から相次いで撤退する。楽天は中国のインターネット検索大手「百度(バイドゥ)」との合弁で開設したネット上の仮想商店街のサービスを5月末で終了。ヤフーも中国のEC最大手「淘宝網(タオバオ)」と組んで展開してきたサービスを17日で終えた。乱立するEC事業者との競争に埋もれ、日本とは勝手が違う商習慣の壁も乗り越えられなかった。急成長している中国のEC市場では、需要獲得を狙う日本や世界の有力企業が苦戦しており、戦略の練り直しを余儀なくされている。

 商習慣の違いネック

 「競争が厳しかった。ミスを犯したことも認め、撤退する」。楽天の三木谷浩史社長は10日の決算発表会見で、悔しさをにじませた。

 楽天の仮想商店街「楽酷天(らくてん)」は2010年10月に大々的にスタート。年間の流通総額が1兆円を突破した日本の「楽天市場」と同様に、出店者を募って手数料収入を得るビジネスモデルで参入した。

 ただ、中国では通販サイトが乱立して過当競争に陥っており、楽天は「収益面での抜本的な改善は見込めない」(担当者)として撤退を決断。既に楽酷天のサイトでは商品の陳列や売買を停止した。

 三木谷社長は「中国の(EC)バブルは想定以上に大きかった」と説明。模造品対策の難しさや、ラインアップした商品が受け入れられなかったという戦略ミスなどを失敗の理由に挙げた。

(次ページ)馴染めぬ習慣 チャットで利用者と店舗側が値段交渉