■時速500キロでトンネル疾走 本番に向け延伸工事着々
総額約9兆円を投じてJR東海が整備する「リニア中央新幹線」の着工に先駆け、「山梨リニア実験線」の延伸工事が山梨県で着々と進んでいる。都留市のリニア実験センターを中心に東京側に7.8キロ、甲府側に16.6キロの計24.4キロを整備。完成後には先行区間(18.4キロ)と合わせ、実験線の全長は42.8キロへと延びる。
リニアの営業線にはトンネルが多い。東京-大阪間の7割が地下で、都市部では地下40メートルを超える大深度地下を走行。南アルプスを貫通するトンネルの長さは約20キロに及び、地表からの垂直距離が最大1.4キロとなる地点も想定されている。
長大なトンネルを走り抜けるテストは実際の運用に向け、技術的に重要な意味を持つ。実験線の延伸区間にはトンネルが10カ所設けられ、総延長は19.1キロと延伸部分の大半を占める。
このうち、長さ約3.8キロの「秋山トンネル」(幅約13メートル)は緩やかなカーブを描く。営業線に転用された場合、計画されている相模原駅(神奈川県)と甲府駅(山梨県)の中間付近にあたり、車両はトンネル内を時速500キロの最高速度で駆け抜けることになるという。
実験線工事事務所の古谷佳久所長は「これまでの土木工事は順調だが、今後設置する『ガイドウエー』は精度が要求される。慎重に工事を進め、工期内の完成を目指したい」と話す。