全日空“両翼戦略”で大空へ マルチブランド化の課題とは (2/3ページ)

2012.7.6 05:00

 ANAのブランド戦略は「予約・購入から出発待ちのラウンジ、機内サービス、空港到着まで、統一感、一貫性のあるサービスを提供することが基本だ」(商品戦略部の竹ノ内典子主席部員)。「乗るたびに新しい発見」「常に他にない独自の価値の創造」などをコンセプトに、乗客を安く安全に運ぶことに特化するLCCには無駄と映る“遊び心”にコストを払うこともいとわない。

 出資するLCCのエアアジア・ジャパンが、成田空港を拠点に8月から国内就航するのを前に、6月には先手を打って国内サービスを立て続けにてこ入れ。国内線の約8割を占める普通席のシートを6年半ぶりに更新し、機内でのコーヒーの無料提供も2年ぶりに復活させた。

 上級席の「プレミアムクラス」では「店の方に何度も試食してもらい、より忠実に味を再現した」(竹ノ内氏)という老舗日本料理店監修の食事を羽田・伊丹・札幌・福岡からの各出発便に導入。LCCとの違いを際立たせた。

 エア・アジアに先立ち、関西国際空港を拠点に3月に就航した全日空系LCCのピーチ・アビエーションによると、大型連休の4月27日~5月6日の利用率は国内4路線の合計で90.8%と高水準。全日空の幹部は「今のところ(ANAの)乗客数の増減など影響はない」と話しており、ANAと系列LCCを並び立たせるマルチブランド経営の第一歩は順調な滑り出しをみせている。

 差別化に高い壁

 だが「LCC先進国」の欧米など海外市場の業界動向に目を向けると、マルチブランドの先行きは楽観できない。

 世界の航空会社のサービスを専門的に調査している英スカイトラックスの2011年の評価結果には、上位3番目のランクに当たる「四つ星」評価に、米ジェットブルー航空や豪州のヴァージン・オーストラリアといったLCCの名前が、ANAと一緒に並ぶ。今やLCCはサービス面でも侮れない存在になり始めており、ブランド差別化のハードルは上がっている。

二兎追うものは…「マルチブランド」難しい舵

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