日航はこうした“特典”を生かして、攻めに転じた。燃費効率が従来機より20%高い次世代中型機「B787」を10機追加発注。格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」にも出資、全日空への対抗姿勢を強めている。
経営を破綻させることなく、地道に利益を積み上げてきたとの自負がある全日空にとって、日航は政府支援によって競争力を高めている存在に映る。不公平感は容易に払拭(ふっしょく)できない。
2年7カ月で復帰
全日空の批判に対し、日航の植木義晴社長が重い口を開いたのは6月26日の定例記者会見だった。
普段、記者からの厳しい質問にも温和な表情を変えない植木社長だが、「(会社更生法が)公正な競争を阻害させているのでは」との質問に、一瞬表情をこわばらせた。「全社員が身を削り、努力を重ねてくれた結果が今回の業績につながった。それを不公正といわれ、当惑している」と強い口調で反論。好業績は、あくまでルールに従って再建に取り組んだ結果であることを強調した。
ただ、日航の再生のスピードが異例であることは確かだ。日航は9月に東証1部に再上場を予定しているが、実現すれば22年2月の上場廃止から約2年7カ月というスピード復帰だ。