同じ特性を持つ800メガヘルツ帯でサービスを展開するドコモ、KDDI(au)に比べ、ソフトバンクは「不利な戦い」を強いられてきた。利用者に不満が募っていたが、悲願だったプラチナバンド獲得によって、孫社長は「もうつながりにくいとは言わせない」と自信満々だ。
ただ、900メガヘルツ対応の基地局はサービス開始当初で同社全体(約18万局)のわずか数%。平成23~25年度の3年間で1兆5500億円を投じ、「垂直立ち上げで一気に改善していく」(孫社長)計画だが、人口カバー率90%超を達成できるのは2年後だ。すでに800メガヘルツ帯で人口カバー率99%超を実現しているライバルに対し、なおしばらく通信品質で苦しい戦いが続く。
怠った設備投資
「つながりにくい」との評判に対し、ソフトバンクは利用する電波特性の違いを理由にしてきた。だが、業界には“自業自得”との見方もある。先行するドコモやKDDIに比べて設備投資を怠っていた時期があるからだ。
売上高に対する設備投資額の比率をみると、それがうかがえる。携帯電話事業に参入した18年度は15・3%とKDDIよりも高いレベルにあったが、20年度には9・6%、21年度は8・0%と減少した。NTTドコモ、KDDIは15%以上を維持しており、ただでさえライバルより劣っていた通信品質の差は、さらに開くことになった。