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「近所で給油できない」現実味
資源エネルギー庁の推計では2030年度時点のガソリン需要は現在より約6割減少する見通しで、業界の低迷に拍車がかかりそうだ。経営体力を奪われた給油所は年1300軒のペースで廃業しており、10年度末には約3万9000軒と1994年のピーク時から4割近く減少している。
消防法規則の改正で設置後40年以上たった老朽タンクを来年1月までに改修することも義務づけられ、「年間5000軒以上の給油所が影響を受ける」(元売り大手幹部)との指摘もある。
東日本大震災は、電力やガスと並んで、あるいはそれ以上に、給油所が社会にとって死活的な役割を担うインフラであることを浮き彫りにした。だが現実には、もうけが出なくなった給油所は後継者難に直面し、地方を中心に給油所がない「空白地帯」が拡大している。そこを直撃する増税ラッシュ。
ある経営者は、「自分の代で給油所を閉めようと考えている人は大勢いる。気がつけば近所でガソリンや灯油が買えなくなる日が近づいている」と警鐘を鳴らした。(田辺裕晶)
【用語解説】環境税
地球温暖化対策の一環として、原油・石油製品、ガス、石炭にかかる石油石炭税を増税する。増税額は二酸化炭素(CO2)排出量1トン当たり289円で、原油・石油製品に置き換えると1リットル当たり76銭。3段階で、今年10月に25銭、2014年4月に25銭、16年4月に26銭上乗せする。」