米菓業界、国産原料高騰に悲鳴 外国産に切り替え、やむなく値上げも (3/3ページ)

2012.9.25 05:00

手焼きせんべいを売る東京巣鴨のせんべい店「雷神堂巣鴨本店」の平野満夫店長。「原料はすべて国産が売りだから、国産米の価格高騰は頭の痛い問題」と話す=東京都豊島区

手焼きせんべいを売る東京巣鴨のせんべい店「雷神堂巣鴨本店」の平野満夫店長。「原料はすべて国産が売りだから、国産米の価格高騰は頭の痛い問題」と話す=東京都豊島区【拡大】

 飼料用に転作増加

 全国米菓工業組合などによると、米菓の主原料である加工用米の2012年産(精米)の価格は昨年より60円高い1キロ220円と、約4割も跳ね上がった。加工米の中で品質が良い米を、外食店などが低価格な主食用として使うケースが増えていることや、全国農業協同組合連合会(JA全農)の加工米の集荷量が減少したことなどで、加工米から飼料用米に転作する農家が増えたことが価格高騰の原因という。

 また、コメの流通経路の透明化を目指す米トレーサビリティー法が昨年7月から全面施行され、あられやせんべいなどの米菓商品にも原料米の産地表示が義務づけられたことも影響している。ある業界関係者は「表示義務がないことをいいことにこれまで外国産の加工米を使用していた業者も、イメージのよい国産米に切り替え始めた」と指摘。「安価な国産加工米を買い求める業者が増え、需要過多になりつつある」と話す。

 国産加工米の価格高騰は今後も続くと予想され、ある米菓メーカーは「大きな天候不順などで全国的に米が不作になれば加工米価格はさらに上がる。利益確保は困難を極めるだろう」と危機感を抱いている。