新たな支援先を探すなか、急浮上したのが米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)だった。
ルネサスは、交渉相手をKKRに一本化。KKRが約1千億円を出資する方向で調整していた。主力取引銀行も、外資系が筆頭株主になることに「問題はない」(主力行首脳)と理解を示した。むしろ、しがらみのない外資系ファンドが支援に乗り出すことで、リストラが加速するとみていたようだ。
KKRは運用資産が5兆円規模に達する世界有数の投資ファンドだ。これまで世界で約200の案件に投資し、新規上場を中心に120件で企業再生に成功している。オランダの半導体会社を再建するなど、同分野での実績もある。
しかし、KKRによる支援に反発したのが、自動車業界だった。KKRが経営の主導権を握れば、生産品種を削減し、高いシェアの車載用マイコンでは値上げが確実視される。それは、日本の自動車業界の競争力に貢献してきたルネサスとの“主従関係”が崩れることを意味する。