低収益にあえぐ理由
KKRがルネサス株を売却する過程で、自動車メーカーと二人三脚で培った技術が海外に流出する懸念もあった。
パワーステアリングなど自動車の制御には30~50個ものマイコンが使われる。とくにハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)ではガソリン車に比べ使われる数が多く、今や自動車の中核技術の一つだ。
車載用マイコンでルネサスは世界シェア4割超を握るトップメーカー。東日本大震災でルネサスの主力工場が被災した際には、多くの自動車工場も止まった。このため、枝野幸男経済産業相は16日の会見で「個社にとどまらず、わが国の競争力として重要だ」と述べ、官民によるルネサス支援に理解を求めた。
ただ、高いシェアを誇るルネサスが低収益にあえぐ要因の一つが、顧客の要求に応じ多品種を低価格で提供する“下請け”に甘んじてきたことだ。この構図が変わらないことに、関係者からは「公的資金を投じたにもかかわらず、経営破綻したエルピーダメモリの二の舞になるのでは」との不安も漏れる。
自動車や家電などに多く使われるマイコンは、日本の製造業の競争力を左右する。中途半端な再建だけは決して許されない。(大柳聡庸)