子供に人気の「アンパンマン自動販売機」=大阪市平野区の「ダイエー長吉店」(宇野貴文撮影)【拡大】
場所が決まっても、売り上げが悪ければ、飲料メーカーは移動を検討する。ただ、メーカーが撤去や移動を希望しても、設置している店舗などが望まないのなら当然、勝手に移動することはできないという。
もうひとつ気になるのは自販機の設置場所を提供した店舗、地主の取り分(収益)。設置する際の「場所代」「家賃」が支払われるケースはあまりなく、飲料が売れれば、1本あたり設定された割合が店舗や地主に支払われる仕組み。取り分比率は飲料メーカー、飲料の価格、立地条件などによってさまざまだが、関係者は「10~20%が多いのではないでしょうか」と推測する。こんな条件の下で全国各地に設置されてきた飲料用自販機だが、市場は飽和状態となりつつある。
震災後の電力不足でじゃま者扱い
日本自動販売機工業会のデータによると、平成23年の飲料自販機の普及台数は前年比2・3%減の253万台、売り上げは4・5%減の2兆2552億円。東日本大震災後の電力不足で、東北地方で自販機の撤去が相次いだほか、照明を夜間も消灯したため、認知度が低下したのが響いた。
こうした事態に、明治だけでなく、自販機が商品販売チャネルの約9割を占めるダイドードリンコ(大阪市)も「おしゃべり機能」を武器に、需要の回復につとめている。