大ヒットした「テルマエ・ロマエ」が収益を押し上げたほか、社会派作品の「終の信託」も手がけ、今後も「バラエティーに富んだ作品をそろえていきたい」(担当者)という。
映画産業にとって、運営の見直しが迫られるシネコンが今後、国内外の質の高い作品をいかに取り込んで商業ベースにのせるかが大きな課題となる。
質の高い作品期待
今年の東京国際映画祭は、沖縄・尖閣諸島の国有化で日中関係が冷え込む中での開催となり、中国作品の「風水」が直前に不参加を表明するトラブルに見舞われた。だが「映画と政治は別」と上映に踏み切り、政治介入を拒んで存在感を高めた。中国の関係者からも称賛の声が上がったという。
今年の最高賞と最優秀監督賞を受賞した仏作品「もうひとりの息子」は、子供の取り違え事件を通じ、イスラエルとパレスチナの対立や人々の苦しみを描いた作品だ。映画祭関係者はこの作品の今後に期待をかける。昨年の最高賞は出品国の仏や欧州だけでなく、日本でもヒット作品となった。受賞作がヒットすれば次回以降に質の高い作品が集まり、映画祭の知名度も上がる好循環が生まれていく。