太陽電池の国内出荷量【拡大】
採算改善に向けて、国内工場で生産した基幹部品のセルを、人件費の安いチェコ工場に輸出してパネルに組み立て、日本に持ち込む手法を採用。ユーロ安で日本への輸送費も相殺でき、低コスト生産体制の確立により13年3月期の黒字転換を視野に入れた。
とはいえ、単独でのコスト削減には限界があるのも事実。そこで日の丸太陽電池メーカーは起死回生を狙って、現在の生産コストの半分程度の1ワット当たり50円以下で生産できる技術の共同研究に乗り出す。
シャープやパナソニックなど19機関が参加し、19年までに試作品を完成させる。日本企業が英知を結集してダントツの競争力を持つ生産技術を確立できれば「勝ち目も生まれる」(大手幹部)とみる。
ただ世界シェア1位の中国サンテック・パワーですら行き過ぎた価格競争で業績が低迷し減産やリストラに追い込まれた。独大手のQセルズ、米ソリンドラは破綻した。
かつて日本が競争力を持ちながら凋落(ちょうらく)した半導体や薄型テレビなどでの反省を教訓に、日の丸メーカーが太陽電池で競争力を保てるか。道筋が問われている。(今井裕治)