海外勢が上位校と契約するのは、日本のランニング市場でブランド価値を高める戦略だ。箱根駅伝は毎年テレビで生中継され、平均視聴率は約30%と高い。約6時間にも及ぶ放送中には大学名とともにメーカーのロゴも映るだけに、業界内では「60億円相当の宣伝効果」ともいわれる。露出時間は上位チームほど長くなるため海外勢がこれを狙ったとみられる。
実際、アディダス日本法人は今回、優勝候補の1校とされる青山学院と12年4月に契約し、ウエアやシューズを提供するなどバックアップ体制を構築した。同校は12年10月に行われた学生3大駅伝の一つ、出雲駅伝で優勝しているだけに、好成績に期待を寄せる。
カジュアルシューズで有名な米ニューバランスも12年9月に上武と契約を結んで新規参入。監督や選手らの協力を得てシューズ開発に役立てるなど、本格的なサポート体制を敷く。同社日本法人では「カジュアルシューズの印象が強いが、トップランナー向けシューズも提供していることを箱根駅伝を通して周知させたい」と鼻息は荒い。
ただ、このままでは豊富な資金力とマーケティング力で勝る海外メーカー勢の優位が続き、日本メーカーの存在感は薄れるという懸念もある。