カプコンが行う出前授業(同社提供)【拡大】
その中で、出前授業を行う企業関係者は「早いうちに企業名を植え付けることで、将来、就活で面接に訪れる確率は高くなる。人材投資としては決して無駄ではない」と打ち明ける。
企業価値と業績とのてんびん?!
ただ、出前授業はあくまで無料。「人材育成」という投資の面は色濃いものの、赤字と不況に苦しむメーカー側が今後も授業を継続できるのか。疑問の声は少なくない。
パナソニックグループが平成7年に始めた「出張電池教室」は、小学生らを対象に電池や環境問題の知識を伝える「環境学習」を行う。平成22年3月には参加者10万人を達成し、「社会貢献は企業価値を維持する根幹だ。削減対象にはならない」(パナソニック関係者)と反論の声もある。
しかし、日本を代表する電機メーカーが巨額の赤字に陥り、リストラを進めざるをえない中、「企業が抱えるさまざまな“要素”が削減対象になっている。出前授業が縮小に向かってもおかしくはない」と、業界内部からも指摘があがる。
出前授業を続けることはできるのか。企業は人材確保、足元の利益、企業価値の3つをてんびんにかける必要に迫られている。(板東和正)