テキサス州でシェールガス権益を持ちダウと提携する三井物産は数年前、ここで化学産業復権の兆しを感じとった。そこで化学向けタンクターミナル運営の米国子会社を通じ、同州パサデナ地区にひそかに建設用地を取得。その読みは当たり、今は化学メーカーからの引き合いが殺到、今月、新たな貯蔵ターミナルの建設を決めた。
投資が加速する化学や肥料プラントの合成過程では、気体を圧縮するコンプレッサーが欠かせない。三菱商事と三菱重工は昨年10月、ヒューストンでコンプレッサーの販売・サービス会社を設立し業務を始めたが、需要は予想以上で、コンプレッサーを生産する三菱重工広島製作所は嬉しい悲鳴をあげる。
三菱商事は、米化学メーカーとの交渉には顧客目線と米国流商慣習にたけた人材が必要と判断。この販売会社の新社長に、元米化学大手のチーフエンジニアをリクルート。さらに役員を含めて8人を送り込む。「米市場の早期取り込みで、業界地図を塗り替えたい」と鼻息も荒く、将来の米国生産も視野に入れる。