そこで、契約を結ぶときには、最初から効果の上がらない契約関係を結ばないために、より一層長い時間を費やして判断することになる。これが日本の枠組みとして機能しており、変化を期待するのは世間知らずというものだろう。代わりに、私たちの会社では、契約関係に入る企業に対して、具体的なゴールを実現できなかった場合には100%の返金保証をしている。だが、これもリスクをわずかに軽減するにとどまる。
自己資本で設立された新規ベンチャーは、信用性もコネも、見せびらかせる過去の業績もなく、それが日本の大企業と契約を締結するのを難しくしている。日本で急成長しているテクノロジー企業はどれも消費者に焦点を当てたサービスを運営しているのはそのためだ。日本政府が起業家精神を少しでも後押ししようとするのなら、若い新卒生がチャンスを求めて飛び立てるよう、そして、大企業がスタートアップと連携しやすくなるよう、リスクを取り除かなければならない。上述したファンドは、その一つの道筋になろう。政府関係者や政策立案者をご存じの方がおられれば、ぜひこの提言を紹介してほしい。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
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【プロフィル】Ejovi Nuwere
イジョビ・ヌウェア ニューヨーク生まれ。全米最大の無線LAN共有サービスFON創業者のひとり。ビジネスウイーク誌により「25人のトップ起業家」に選出される。2008年に日本でオンラインマーケティングに特化したランドラッシュグループ株式会社を設立し、現最高経営責任者(CEO)。Eラーニングのgatherat.comを手掛ける。