ポスコに対する訴訟での新日鉄住金の主張【拡大】
いわば“虎の子”の技術を奪ったとして、新日鉄住金はポスコや日本法人ポスコジャパン、技術流出に関与したとされる旧新日鉄の社員OBに対し、不正競争防止法に基づく損害賠償や方向性電磁鋼板の製造・販売の差し止めを求め提訴した。
方向性電磁鋼板は、通常鋼板と異なり、結晶体を一定の方向にそろえて結晶化させることで磁化しやすい特性を持つ。電気が流れる際のロスが極めて少なくなる。このため電気を各家庭に送る際に使われる変圧器の鉄心として広く使用されている。
この技術は、1950年代に旧新日鉄が米鉄鋼大手アームコからライセンスを受けたものだが、その後、技術精度を格段に引き上げたほか、大量生産の方法を編み出した“独自技術”。それを認めた世界各国の5社にライセンスを与えた。
このため、「本来なら新日鉄住金とライセンス5社で世界シェアの全てをまかなっているはず」(新日鉄住金関係者)だが、ライセンスを供与していないポスコと、ポスコの社員が技術を流出させたことが韓国の裁判で判明した中国の宝山鋼鉄が合わせて3割程度のシェアを握っているとされる。