ポスコに対する訴訟での新日鉄住金の主張【拡大】
7月2日に予定される第5回期日では、新日鉄住金が2月に提出したさまざまな証拠に対する反論を展開するとみられる。
提携関係にありながら訴訟で敵味方に分かれるという両社だが、業界では「きっちりとした決着」を望む声が大きい。
別の鉄鋼メーカー関係者は「問題の発覚以降、わが社でも同様の問題がないか一斉に点検した」と明かす。
新日鉄住金のケースでは当該技術の中心的人物による流出だったとみられるだけに「どこまで実効性のある対策が打てるかは悩みどころ」とも話す。
だからこそ「こういうことを起こすと、最終的にどうなるかということを含め、きっちりと決着をつけてほしい」と強調する。
鉄鋼メーカー各社は海外生産を進める上で、現地企業との合弁なども進めている。「その相手を信頼できるようになるためにも、判決を世界的に知らしめた方がいい」というわけだ。
野村証券エクイティ・リサーチ部の松本裕司アナリストは「方向性電磁鋼板は日本の技術であり利益率も高い」と指摘。その上で「両社の現場の人たちの関係が悪化しているわけではないが、時間がかかっても変に妥協はしないほうがいい」という。
高裁、最高裁も見据え、長期化が見込まれる今回の訴訟。日本のものづくり力を守るためにも決着の行方が注目を集める。(兼松康)