奥田氏は昨年4月、常務執行役員から社長に昇格したばかり。当初は、液晶事業への過大投資で巨額赤字を招いた片山氏が、単独で退任する人事も検討されたが、12年度下期(12年10月~13年3月)の連結営業損益の黒字化を達成し、中期計画も策定したことから奥田氏も退き、新体制で計画を推進することにした。
奥田社長が在任わずか1年3カ月で退任する背景には、大胆なリストラに踏み込んだにもかかわらず業績不振から抜け出せない経営責任を明確化し、社内の求心力を高める狙いがある。さらに海外経験豊富な高橋副社長を起用することで出遅れた海外事業を挽回し、経営再建に結びつける考えとみられる。
奥田氏の社長就任後、人員削減を含むリストラを実行したものの、業績の下方修正が相次いだ。社内外からは奥田氏に対し、再建計画の遅れの責任を問う声が強まっていた。
シャープは主力の液晶テレビで国内シェアは高いものの、成長市場の海外での販売力が弱いことが業績低迷の原因となった。