社長交代を発表し、握手するシャープの奥田隆司社長(左)と新社長となる高橋興三副社長=14日、東京都千代田区【拡大】
シャープは14日、液晶事業への過大投資で巨額赤字を招いた片山幹雄会長らの退任を発表、過去のしがらみを断ち切り経営再建を急ぐ姿勢を明確にした。
新体制の下で、経営不振の原因となった液晶事業の立て直しや国内に偏重した売上高構成の是正を目指す。追加融資枠の設定や取締役の派遣などで主力取引銀行の影響力が増す中、改革の実行を託された高橋興三次期社長らの手腕が問われる。
滞った「新陳代謝」
「ここ数年のシャープの経営体質からの脱却を目指す」。6月に社長に就任する高橋副社長は会見でこう強調した。
シャープペンシルの発明に始まり、国内初の電子レンジや太陽電池の量産…。シャープは時代の流れに応じて主力商品を入れ替え、業績を拡大してきた。
だが、ここ数年は液晶への集中で「新陳代謝」が滞った。町田勝彦相談役は社長時代に「液晶の次は液晶」と豪語。町田氏の後を継いだ片山会長も巨費を投じ、液晶パネルの堺工場(堺市)の建設に踏み切ったものの、液晶は韓国や台湾勢の台頭で価格競争が激化し、採算が急激に悪化。液晶事業への偏重が裏目に出て経営不振を招いた。