社長交代を発表し、握手するシャープの奥田隆司社長(左)と新社長となる高橋興三副社長=14日、東京都千代田区【拡大】
製造業で20~30%が健全とされる自己資本比率は3月末時点で6.0%に低下。最重要課題の資本増強では、米クアルコムやサムスンとの資本提携交渉は片山会長が主導し、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携は町田相談役がまとめた経緯がある。
だが、外部との交渉や経営戦略に複数の社長経験者が関与するなど、奥田隆司社長以外の司令塔の存在が混乱を招き、再建を阻む壁となっていたとの指摘は少なくない。
新体制では高橋次期社長に権限を一元化するが、取締役2人を派遣する主力銀行の関与が強まることで意思決定が遅れる懸念もくすぶる。
創業100周年を昨年迎えたシャープが、創業以来の経営危機をどう乗り越えるのか。高橋氏は「再生と成長に向けた新たなスタートにする」としたものの、液晶に頼る経営体質の改革は簡単ではない。(大柳聡庸)