帝人の売上高と営業利益の目標【拡大】
帝人は昨年2月、12~16年度に取り組む中期経営計画と、20年頃を見据えた長期的展望を抱き合わせた「中長期経営ビジョン」を発表。アラミド繊維や炭素繊維複合材料などを「成長ドライバー」と位置づけ、年平均1000億円の“成長投資”と、製造効率の向上などによる400億円超(11年度比)のコスト削減で、16年度に売上高を1兆3000億円、営業利益を1000億円とする目標を掲げた。
この計画は発表時から「見通しが甘い」(アナリスト)と指摘されていたが、初年度にあたる13年3月期の実績が期初予想を大きく下回ったことで、それが的中した格好となった。同社は16年度の収益目標を修正し、6月末までに公表する予定だ。
誤算だったのは、成長エンジンの一つであるアラミド繊維の需要低迷だ。主力の防弾・防護用途が米国の財政再建に伴う防衛費削減で減少し、欧米の自動車関連向けも昨年度後半から調整局面に入った。「計画上は先進国向けだけでキャパシティー(生産能力)がいっぱいになるはずだった」(園部CFO)が、このシナリオが崩壊した。