中部電力が対日輸出事業を計画している米LNG基地。奥に見えるのが貯蔵タンク=米テキサス州フリーポート(中部電力提供)【拡大】
もともと、関西では、大ガスと関電の顧客争奪戦が激しく、大ガスは関西で電力も販売するなど両社は強烈なライバル関係にある。関電が4月以降、電気料金値上げに踏み切ったため、「一般的にはチャンスが広がっている」(関係者)との見方もある。
一方の中部電は、原発の比率が5割を超す関電より電気料金は割高とされてきた。
大規模工場などへの電力販売が自由化された12年以降、中部電が最も恐れたのが、関電の攻勢だった。関電はかつて、供給エリア外の愛知県に本拠を置く「トヨタ自動車グループを中部電から奪おうとひそかに営業攻勢をかけた」と報じられたことがある。
中部電は大ショックを受けた。元幹部は「トヨタを取られたら終わり。手を抜けば関電にやられるという気持ちが強い」と打ち明ける。今も中部電の「トラウマ」(中部財界関係者)になっているようだ。