ビール大手3社の経営状況【拡大】
成功体験リセット、市場との対話必要
だが上場で、サントリーはこれまでの経営方針と相反するような短期的成果を求める投資家の厳しい意見にさらされる。情報公開や監査法人への支払い費用の増加、大量の株主を抱えることによる意思決定の遅延などに対応する必要も出てくる。
加えて、子会社のみ上場させるという手法はガバナンス(企業統治)上の問題も指摘され、株主の視線が厳しさを増すのは必至。株主との関係に疲弊した企業が市場から撤退した例も少なくなく、11年にはカルチュア・コンビニエンス・クラブやアートコーポレーションなど有名企業の上場廃止が相次いだ。
上場のメリットである資金調達を生かす海外事業の拡大も一筋縄ではいかない。東南アジアの飲料市場は、欧米の食品大手との競争が激化。キリンHDも今年1月のシンガポール飲料大手フレーザー・アンド・ニーブをめぐる買収合戦で株価を引き上げられ、撤退を強いられた。