今夏のLCCと新幹線のバトル【拡大】
7月からはJR九州も加わり、これを鹿児島方面などに拡大。新大阪・新神戸-鹿児島中央間は1万4千円としており、「想定を上回る売れ行き」(JR西の担当者)だ。9月までの期間限定だが、延長する可能性もある。
新幹線、「消耗戦はムリ」
ただ新幹線は、LCCとの“消耗戦”を続けることは難しい。JR西などは在来線を含め広範な交通ネットワークを維持しなければならず、“ドル箱”である新幹線料金の大幅な値下げには踏み切れないのが実情だ。真鍋社長は「徹底した価格競争はしない」と言い切る。
そこで新幹線が売りにするのが、「大量輸送」。1編成(8両)500人以上を運べる山陽・九州新幹線は新大阪発着で1日約40往復する。1便200席弱で1日数往復にとどまるLCCに比べれば、利便性の差は歴然だ。
航空機の利用では、都心から離れた空港に行くまでの手間と交通機関の運賃も見過ごせない。
たとえば、JR大阪駅-関空間の鉄道・バス料金はほぼ1000円を超える。航空業界の関係者は「総合的にみれば、LCCは新幹線とは勝負にならない」と指摘する。 “航空連合”の逆襲 実際、京阪神-福岡間は新幹線が8割以上のシェアを握るなど、新幹線の優位は固い。とはいえ「一定の影響を受けた」(JR西の真鍋社長)と、LCCが牙城を切り崩しつつあるのは事実だ。 ピーチの井上慎一最高経営責任者(CEO)は「LCCのビジネスモデルを理解してもらっている」と利用者獲得に自信をみせる。さらに夏休みが終わった10月には、中堅航空会社のスターフライヤーも片道最安4500円で関空-福岡線を開設する。 空と陸のバトルは当分収まりそうにない。(中村智隆)