「試掘溝の西側で何か出る可能性を考えた方がいい」。7月上旬の評価会合で、大飯の試掘溝をめぐり、調査団の一人は、早くも関電の調査手法に文句をつけた。
関電は試掘溝を長さ約70メートルで掘ったが、調査団は当初約300メートルを要求。最終的に関電の主張が通ったが「規制委はまだこだわっている」(関係者)との見方もある。
関電、ついに猫かぶり?
原発の新規制基準をめぐる審査では、津波の想定や周辺活断層の評価で規制委の要請を「ことごとく無視」(関係者)し、「小出しにしている」と規制委の怒りを買った関電。“戦略ミス”と悟ったのか、関電は一転、「恭順」の姿勢に転換した。
大飯と同じタイミングで安全審査を申請した高浜について、「福井県の想定を使えと指示を受けたので対応したい。審査を前に進めていただきたい」と先月27日、関電の橋本徳昭常務は述べた。
福井県の津波想定(3.7メートル)より低い想定(2.6メートル)にこだわってきた姿勢を糾弾され、大飯と同じように審査保留が決定的となったわずか4日後の“豹変(ひょうへん)”だった。