八木誠社長は「もう一度技術的な議論をしたかったが、県の想定を基準津波とするという考えが規制委から示されたので…」と苦しい心情を吐露した。
関電は今月5日、大飯原発周辺の活断層3連動を想定しても、主要施設に影響はないとする評価結果を規制委に提出し、高浜でも連動を考慮すると報告した。大飯、高浜の“生殺与奪の権”を規制委を前に、“お上”に従わざるをえなかったのか…。
再び“破砕帯危機”
規制委とのすれ違いが目立つ関電。なぜこうなるのか。規制委の前身組織、旧原子力安全・保安院時代との違いを指摘する声も。
ある電力会社の幹部は、関電のかたくなな姿勢を疑問視しつつもこう話す。「電力会社は大抵のデータは持っている。保安院のころは会合前にすりあわせ、必要な資料を準備してきたが、規制委とは『出たとこ勝負』になっている」
この幹部は「交渉ごとでは、敵か味方か分からない相手に手の内をすべてさらすことはしないでしょう」とも分析。関電は「根回し」の効かない規制委を警戒しているというのだ。
関電の方針転換にもかかわらず、規制委は高浜についてはデータ不足を指摘しており、大飯と同じく、審査の据え置きが確定した。