シャープ本社=大阪市阿倍野区(本社ヘリから)【拡大】
自己資本の増強急務
一方、シャープの財務の健全性を示す自己資本比率は、3月末と同じ6%。15%前後以上を確保する他の電機メーカーと比べ低い点は否めない。
さらに26年3月末の通期連結決算では、企業年金の積み立て不足を負債として一括計上する必要があり、1200億円前後の純資産が会計上、消える。6月末の純資産は1330億円。資本増強がなければ負債1.9兆円に対し純資産が100億円前後となり、債務超過が目前の水準になる可能性もある。
このため、9月中に公募増資と提携企業への第三者割当増資で1千億円超の資本を上積みして備えたい考えだ。
またシャープは9月末に2千億円、26年3月には300億円の社債償還を控える。今年6月末の手元資金は1546億円で、収益の確実な積み上げでキャッシュフローを好転させる必要がある。なにより、増資に対する株式市場の理解を得るためにも、高橋興三社長体制でスタートしたシャープは、新たな成長戦略を示すことが求められている。(織田淳嗣)