新日鉄住金側はソウル高裁判決を不服として上告したが、最高裁で判断が覆される可能性は低いとみられる。
同社は、(1)判決確定前に和解する(2)確定判決に従う(3)判決確定後も支払いに応じない-との選択肢から今後の方策を検討。(1)では原告側が補償基金の設立を求めることも予測され、賠償の対象が立証の不十分な元徴用工にも拡大すると判断した。
また、(3)の場合は、同社の韓国内の資産を差し押さえる強制執行が行われるとみられ、取引上の売掛債権などが対象にされる可能性を考慮。同社幹部は「判決には全く納得していないが、一民間企業としてできることには限界がある」としており、その言葉には、国家間で締結された協定が“ほご”にされる異例の事態に巻き込まれた企業の苦悩がにじむ。