おそらく、それが同社のサイトで売られている眼鏡の数が限定的な理由だろう。同じ低価格眼鏡を販売するJINSやZoff(ゾフ)とは違って、ワービー・パーカーは世の中の視力の低い人全員をターゲットにはしていない。20代、30代の小さな市場セグメントを意識的に狙っている。良い意味にだけとられる呼び方ではないが、2000年前後に成人を迎えて、流行に敏感な「ミレニアルズ世代」とも「ヒップスター」とも言われる層だ。
ワービー・パーカーがブランドとして語るストーリーで最も特徴的なのが、眼鏡を1本買って1本貧しい人に届けようという「バイ・ア・ペア、ギブ・ア・ペア」キャンペーンだ。共同創業者のニール・ブルメンサル氏は社会に変革をもたらす方法を模索し、海外で多くの時間を過ごした人物だ。
彼は、だれもが低価格で眼鏡を入手できる社会を目指すビジョン・スプリングという非営利の社会的企業で5年間、ディレクターを務めた。診察を受け、処方箋をもらって眼鏡をかける必要があるのに、その資金が足りない人は世界中に7億人以上または10億人以上いるともいわれる。非営利のフィールドでの経験を踏まえ、彼はもっと規模の大きい変革を目指し自らビジネスに挑戦した。
創業当初から同社がユニークな存在ととらえられたのは、アメリカでは眼鏡市場がルックスオティカによって独占されているという事情による。ルックスオティカはイタリア生まれの、世界最大のアイウェア企業で、1990年代からぺルソールやレイバンといったサングラスメーカーを傘下に収め、アルマーニ、プラダ、シャネル他多くの主要ブランドとも早くからライセンス契約を結び急成長した大グループだ。