新興国では発電プラントの設計から建設まで総合的な解決策の提供を求められるケースが多いが、ドメイン制になれば対応しやすくなる。
組織改革と並んで規模拡大の牽引役となるのが、成長領域への注力だ。火力発電分野での日立との事業統合は「エネルギー・環境」ドメインの強化策の核。今年5月には、航空機エンジンメーカー、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の小型ガスタービン事業を買収。三菱重工は大型、日立は中型ガスタービンを得意としており、大・中・小のラインアップをそろえた。展開地域の補完効果も見込まれる。
かつて三菱重工は自社技術を重視し、グループ内ですべてを賄う「自前主義」の印象が強かった。P&Wの小型ガスタービン事業の買収額は数百億円とされるが、宮永社長は「自社の技術は大事だが、利用できる力を自分のものにして発展させられるなら、やる価値はある」とM&A(合併・買収)に積極的だ。