【底流】三菱重「3兆円の壁」 社運かけたMRJ、飛躍のカギ握る (4/4ページ)

2013.9.13 06:00

  • 三菱航空機の川井昭陽社長(左から2人目)ら幹部。手前は開発中の小型ジェット旅客機MRJの模型=8月22日午後、東京都港区の三菱重工業品川本社ビル(小野淳一撮影)

 国産ジェットの誤算

 もっとも、成長への道のりは平坦ではない。8月22日、三菱重工の子会社の三菱航空機(名古屋市)は開発を進める「MRJ」の初号機の納入を1年以上延期すると発表した。開発計画の延期はこれで3度目。ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアの2強に加え、ロシアや中国の企業も参入する中、「今後、受注競争で苦戦するのではないか」との見方が業界で広がった。

 三菱重工は航空事業を成長エンジンと位置付けており、その柱が米ボーイングの1次下請け事業とMRJだ。鯨井洋一常務執行役員(航空宇宙事業本部長)は「下請けは利益もあるし、一つのビジネス。しかし、完成機メーカーを目指さないかぎり成長していくのは難しい」とMRJ開発の意義を強調する。開発費は約1800億円で、社運をかけたプロジェクトだ。

 ただ、これまでの受注は325機にとどまり、500機前後とされる採算ラインには届いていない。開発に失敗すれば、経営にも打撃を与える。宮永社長は「長期的に考えれば発展のチャンスが増える。我慢しても投資を続けないといけない」と話す。航空事業の成否が5兆円企業への飛躍のカギを握っている。

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