マンションの建て替え戸数【拡大】
桜上水団地では25年を要した。それぞれ居住者全体の5分の4、各棟の3分の2を上回る賛成が必要だが、各棟で条件を満たせないケースが2回あったのだ。「高齢者から『ここで死なせてくれ』といわれるのが最も辛かった」と野村不動産の松崎雅嗣・執行役員は振り返る。
敷地面積に対する延べ床面積の割合を指す、容積率との関係も密接に絡んでくる。新築当時に比べ容積率が緩和された地域の物件だと、大きなマンションを建築でき、居住者以外に売る分譲戸数も増え、居住者の負担は抑制できるが、こうした案件は少なくなりつつある。建て替えを促進して災害に強い街づくりを進めるという観点から、容積率の緩和を求める声は根強い。
少子高齢化社会の進展に伴って住宅・不動産会社は、リフォームに代表されるストック関連ビジネスを急ピッチで拡大している。その中でも、マンションの建て替えは最難関事業。課題を克服して、目標数値をどれだけ上回ることができるのか。ストックビジネスの成長を占う試金石でもある。(伊藤俊祐)