同時に、「テレビはつまらない」といった批判が個人の感想レベルにとどまらず、可視化され共有されてきたことも事実だ。ただ、「半沢直樹」が記録的な視聴率を出したことで「みんな何だかんだでテレビ見てるんだな」「ネットはテレビの敵ではなく(面白さの)『増幅装置』」(ツイッター)などと、それぞれの特性を見つめ直す声も出ている。
失望も「倍返し」?
早稲田大文学学術院の岡室美奈子教授(55)=テレビ文化論=は「SNSで気の利いた考察が拡散されたり、発信力のある人が作品を勧めたりすることが多くなり、ネットの『ドラマ批評』は充実してきた。ネットを通じて視聴者の目は肥えてきたと言える」と指摘する。
その肥えた目は、時に批判のエスカレートも招く。特に漫画や小説など人気作の映像化では、配役への目が厳しくなり、「これは事務所のごり押しではないか」という業界人まがいの臆測も出回る。好評も失望もネットでは「増幅」されるのだ。