経団連の米倉弘昌会長【拡大】
本来、労使で決めるべき賃上げ交渉に政府が要請という形で首を突っ込むことに対する違和感もある。丸紅の勝俣宣夫相談役は「政府が賃上げ額を決められるわけではない。個々の企業業績に関係なく上げろと言っているわけではない。あくまでも要請だろう」とくぎをさした。
東京海上日動火災保険の石原邦夫相談役は「賃上げは鶏が先か卵が先かの議論だ」と指摘。佐々木氏は「景気が回復し業績が好転してから給与が上がるまでに時間差がある」と述べ、政労使会議で「最後はどういう風に賃上げ要請に対応したか教えろと政府に迫られるのではないか」と警戒感を隠さない。
春期労使交渉で経営側のスタンスをとりまとめる経営労働政策委員長を務める宮原耕治・日本郵船会長は「企業環境は間違いなく明るくなってきた」と認めるが「政府の要請は要請として、賃上げは中間決算の内容や税制改正の行方を見てから判断したい」と話す。(早坂礼子)