これに対し、炭(炭素素材)だけでできた素材を削りだして作った「本炭釜」は、表面から10ミリメートルとステンレスの約40倍の範囲で発熱する。また、熱伝導率も高く、力強く均一な加熱が可能になる。さらに、「本炭釜」の底面には、中心部に向かってわずかに厚くなるようにテーパーが付けてある。コイルの真上で発生した熱を中央部へ導くとともに、スロープを伝わった気泡が中心付近で大きな泡となるための工夫だ。
◆蒸気レスの威力
おいしいご飯を炊くために寄与したもう一つの技術が、09年に発売された「蒸気レス」の機構だ。「はじめチョロチョロ中パッパ」という言葉で表されるように、ご飯をおいしく炊くためには、一定時間強く加熱して糊化を進める必要がある。
しかし、単純に加熱を続けると、“オネバ”が発生して噴きこぼれてしまうことが避けられない。
羽釜を使ってかまどで炊く場合は噴きこぼれを気にすることはないが、炊飯器では周囲を汚す噴きこぼれは厳禁だ。
このため、通常の炊飯器は、噴きこぼれる前に火を弱めて間欠的な沸騰を繰り返さざるを得ない。発生する蒸気を水でトラップする「蒸気レスIH」の機構は、蒸気を出さないだけでなく、“中パッパ”の加熱を続ける「特許・連続大沸騰」が可能になり、さらに、捕集した“オネバ”のうまみ成分を蒸らし時にご飯に還元することが可能になった。
三菱電機では、さらなるおいしさの向上を目指して、かまどで炊くご飯のおいしさの秘密をより深く探求することに取り組んだ。着目したのは、羽釜の羽根の効果。羽釜の羽根はかまどに密着して熱気が逃げるのを遮断するため、釜全体が加熱されて均一で強力な沸騰が得られている。一方、従来の炊飯器は、内釜と本体の間の隙間から熱気が逃げていた。