ジスプロシウムの世界需要【拡大】
一方で、河村事業部長は「別の角度からみた場合、中国が恩恵を受ける部分も少なくない」と語る。というのも、地中に硫酸アンモニウムの抽出液を流し込み、ジスプロを溶かし出す採掘手法を採用しているからだ。この手法は経済的だが、深刻な地下水汚染を引き起こしてしまう。しかも違法採掘や需要増加とあいまって、問題は日を追うごとに深刻化している。
ジスプロフリー化が進めば、利益は目減りするかもしれないが、環境保全とのバランスが取れる。その方が、環境悪化に苦しむ今の中国にとってプラスなのではないか。(井田通人)
【用語解説】ジスプロシウム
レアアースの一種で原子番号66の元素。柔らかい光沢のある銀色をしている。フランスのボアボードランが1886年に分離に成功した際の苦労から、ギリシャ語の「dysprositos(近づき難い)」にちなんで名づけられた。光磁気ディスクや伸縮合金、蛍光塗料に使われているが、近年は高性能磁石の添加剤としての需要が急増している。貴重なレアアースの中でも希少性が高く、採掘場所が偏在していることもあり、9割以上が中国で産出される。