◆高級車の名声へ邁進
壊れにくい大衆車-。これがトヨタ自動車が得ている名声である。これに対し、ダイムラー、BMWは高級車から始まり、それが原点となっている。これこそが独勢とレクサスのブランド力の差だ。
「ドイツ勢が変わらない高級感を打ち出せば『ぶれない』と評価される。しかし、レクサスは『つまらない』となる」。トヨタの幹部はこう嘆く。
フロントに台形を組み合わせたような「スピンドルグリル」をレクサス全車種に昨年来、採用し始め、力強さを前面に打ち出したのも「個性を鮮明にして、ブランド埋没を防ぐ」(福市得雄専務役員)という危機感にほかならない。
中興の祖といわれ、9月に亡くなった豊田英二は生産革新でトヨタを「最強の製造業」と呼ばれるまでに育て上げた。ただ、ブランド力、正確には高級車分野におけるブランド力ではドイツ勢がはるか先を行く。
「もっとできる」。こう確信する社長の豊田章男は、大叔父である英二が築き上げた「最強の製造業」に続き、「最高のブランド」という2つ目の称号を手に入れることはできるのか。挑戦が始まった。=敬称略
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自動車業界では史上初となる世界販売1000万台が目前のトヨタ自動車。しかし、豊田章男社長は「もっといいクルマづくり」を合言葉に、経営のかじを量的拡大から質的拡大へと切った。トヨタが求める「真の競争力」を追う。