◆安っぽい印象払拭
2011年に発売した商品は、3~4人前の“ちゃんこ鍋”が作れる粉末スープが“2袋”入った紙ケース入り。真空下で原料の持つ風味を失うことなく乾燥させる“真空乾燥製法”を採用して味も良く、3~4人前の液体タイプの鍋用調味料とほぼ同じ価格帯に設定してお得感を訴求した。折からの長引く不況下で価格の優位性から、高く評価されると期待された。
しかし、売り上げは低迷したまま、まもなく販売終了となってしまった。
新たなチャレンジに当たって、開発スタッフは10年前の失敗の原因をあらためて検討した。当時から、ほとんどがパウチやボトル入りの液体鍋つゆ商品の中では、小さな紙ケース入りの粉末タイプは、安っぽさが先に立って、本格的な味ではないのではという印象を持たれてしまった。新たなキューブタイプの鍋つゆも、形の新規性だけでは、消費者に手に取ってもらえず、すぐに鍋つゆ売り場の隅に追いやられ、やがて排除されてしまう。
使いやすさを重視した廉価版ではなく、本格的なおいしさを味わえる商品というイメージを大切にする意味でも、キューブの割れや欠けは禁物。壊れたキューブをかき集めて鍋に入れるような使い方は許されない。しかし、パウチに収めた多孔質のキューブの割れや欠けを防ぐことは非常に難しい課題だった。
「鍋キューブ」は「固形コンソメ」同様粉末素材と油分を突き固めて作るが、調理過程で調味料や香辛料を足される「固形コンソメ」と異なり、鍋つゆには、強いうまみと複雑な味の幅が欠かせない。このために必要なエキス原材料は、配合量を増やすともともと壊れやすい多孔質のキューブをさらにポロポロと壊れやすくする。配合量を増やしても保形性が損なわれないエキス原材料を探したり、成型時の圧力や成型速度を何度も変えて最適条件を探したりしながら、使う直前までキューブの形を保つ保形性と、調理するときにはさっと溶ける溶解性を両立する技術を確立した。