2015年春の上場を目指す日本郵政が、攻めの経営体質への転換に乗り出した。慢性的な赤字だった宿泊施設「かんぽの宿」や逓信病院の売却計画を策定したほか、成長市場である高齢者支援事業に参入するなど、郵便局のネットワークを生かす事業も動き出した。13年9月中間連結決算は増益を確保する見通し。就任して4カ月余りの西室泰三社長の狙いは着実に浸透しつつある。
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かんぽの宿は「象徴」
「現在、関係先と調整を始めている。(地元自治体などの)理解を得ながら慎重に進めていく」
西室泰三社長は10月23日の定例会見でこう述べ、かんぽの宿と逓信病院の売却方針を正式に明らかにした。かんぽの宿などの売却をめぐっては、6月の社長就任当初、「見直しを始めている」と述べるにとどめていただけに、ようやく一歩踏み出した格好だ。
かんぽの宿は全国に66カ所(休館含む)、逓信病院は全国14都道府県の県庁所在地にある。13年3月期決算では、宿泊事業が14億円、病院事業が48億円の経常赤字を計上し、両事業の赤字総額は62億円に上った。両事業の赤字解消は長年の懸案だった。