政府は平成25年度補正予算案で、26年度の実質国内総生産(GDP)の押し上げ効果を1%程度と見込むが、民間エコノミストの予想は1%に達しないとの見方が大半だ。インフラ整備などを評価する声がある一方、消費税増税の影響を受けやすい家計への手当てが足りないほか、財政規律が緩むとの懸念もくすぶる。
「インフラ整備など一定規模の公共工事を盛り込み、景気減速のリスクを抑える効果は高い」と話すのは野村証券の木下智夫チーフエコノミスト。公共事業は、2020年東京五輪に向けたインフラ整備を除けば、耐震化や老朽化といった防災対策が目立つ。
景気浮揚の即効性が高いとされる公共事業の財源を補正で確保したことで、増税に伴う需要減が見込まれる来年4~6月期の景気の落ち込みをカバーする狙いだ。景気減速懸念が後退すれば、企業心理の好転につながり、設備投資や賃上げの動きを後押しする。
一方、増税に伴う家計負担を軽くする効果について懐疑的な見方もある。競争力強化策の1兆4千億円、復興や防災対策の3兆1千億円に対し、低所得者向けと女性や高齢者向け施策の財源は計1兆円弱と「他の事業に比べ見劣りする」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)。このため、せっかく給付した現金が消費ではなく貯蓄に回り、消費の下支えや増税後の経済の持ち直しに思うように寄与しない懸念も出ている。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「補正予算に緊急性の低い競争力強化策を入れたのは違和感がある」と指摘する。「財政規律を強く求められる当初予算に盛り込みにくい財源を補正予算で確保した」(斎藤氏)印象で、競争力強化策が経済成長に寄与しなければ、無駄な支出が膨らみ、財政健全化が後退する恐れがある。