実験のために装着された鹿の衝突緩和装置。JR東海は新しく導入する列車にも整備する方針だ【拡大】
山間部を走る列車と鹿との衝突事故が相次いでいることに対応し、JR東海が開発した衝突緩和装置が効果を上げている。在来線の特急列車に装着し、約1年半の“実証実験”をした結果、鹿の巻き込み事故が減少し、列車の平均遅延時間が短縮されるなどの効果を確認した。他の対策に比べてコストや効果が優れているため、平成26年度から導入する新たな普通列車にも装着することを決めた。
列車と鹿が衝突すると、列車が鹿を巻き込んで破損したり、ダイヤが乱れたりすることに加え、現場の処理などに作業員を派遣する必要があり、費用を含めた負担は大きい。
装置は動物愛護の観点から、鹿に致命傷を与えずに路線の外に押しのけることを目標に開発した。
スポンジゴム製で、先頭車両に装着。装置の上部が柔らかく、下部が硬い2層構造にすることで、衝突の際、鹿への致命傷を防ぐとともに、車両下部への巻き込みを防止できる。